高齢者糖尿病の症例におけるCGMの活用
personaSMBGで血糖測定をしている2型糖尿病の高齢者
罹病期間が長いものの、アドヒアランスは良くHbA1cの目標(<8%)を達成できている。
最近は認知機能の低下に不安を感じ、家族と連絡を取るためにLINEを使用している。着信に気付く
ことが出来るようマナーモードはオフにしている。

年齢・性別: 77歳・男性
〈現在の治療〉
BMI*1:24.5 kg/m2
血糖モニタリング:SMBG*2(朝食前、夕食前)
糖尿病の罹患期間: 16年
薬物治療:DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、
血圧(収縮期/拡張期): 140/80 mmHg
基礎インスリン(インスリン イコデク)70単位/週
低血糖の自覚症状無し
HbA1c:7.3%
- ※1BMI:body mass index(体格指数)
- ※2SMBG:self-monitoring of blood glucose(血糖自己測定)

personaCGMの導入を検討される際に重視される点は何でしょうか?
目次
- 1. 低グルコースの減少
- 3. HbA1cの改善
- 4. 急性糖尿病イベントによる入院の減少
- 5. 指先穿刺によるSMBGの実施必要性の減少
- 6. 現在および直近の高グルコースおよび低グルコースを音やバイブレーションで通知・警告
- 7. データを共有し、介助者が患者のグルコース状態をリアルタイムで確認できる機能を提供
監修のことば
東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科
主任教授 西村 理明 先生
日本における2型糖尿病の7割以上が65歳以上であり、約4割が75歳以上であることから、医療従事者の多くが高齢者2型糖尿病を診療されていると考えられます。高齢者糖尿病ガイドラインでは年齢に加えて認知機能やADL、併存疾患や機能障害に加えて、重症低血糖が危惧される薬剤であるインスリンやSU薬、グリニド薬などの使用の有無別に血糖管理目標を示しております。
今回は新しい週一回のインスリン製剤であるイコデクを使用している高齢者2型糖尿病を対象に、SMBGからFreeStyleリブレ 2などのCGMをどのような観点から追加あるいは切り替えを行っていくかについて医療従事者の先生にご検討いただく目的で仮想症例を作成いたしました。
当症例に関するディスカッションが今後のご診療の一助となることを願っております。

インスリン治療中の75歳以上の2型糖尿病における
SMBG※1によって確認された低血糖の頻度(海外データ)
インスリン治療中の75歳以上の2型糖尿病の37.6%では、28日間に1回以上SMBGによって確認された低血糖を経験していました〈主要評価項目〉。
患者背景

1回以上のSMBGによって確認された低血糖と関連する因子の多変量解析結果

- ※1SMBG(self-monitoring of blood glucose:血糖自己測定)
- ※2高齢者機能評価で脆弱性が認められない者を健康な患者、進行した糖尿病合併症、生命を脅かす併存疾患、認知障害、低栄養状態、大うつ病、身体機能低下が認められる患者を複雑な患者と定義した
- ※3CV(coefficient of variation:変動係数)
- 目的:インスリン治療中の高齢2型糖尿病患者における低血糖の頻度と予測因子を明らかにする。
- 対象:インスリン治療中の75歳以上の2型糖尿病患者のうち、1日2回以上のSMBGで血糖管理を行っている患者155例
- 方法:2017年11月から2020年3月にフランスの6医療機関において、対象例は高齢者機能評価および糖尿病の評価後、28日間連続して外来用のブラインド CGM(continuous glucose monitoring:持続グルコース測定)を受けた。
- 主要評価項目:28日間の追跡期間中にSMBG<70mg/dLで定義される低血糖が1回以上認められた患者の割合
- 副次評価項目:TBRレベル2の低グルコース状態であった時間、夜間(0:00~6:00)低グルコースの頻度、夜間のTBRレベル2 など
- 解析方法:ベースラインの患者背景について、量的変数は正規分布の場合には平均値±標準偏差、それ以外の場合には中央値(25-75パーセンタイル)で表記し、それぞれStudentの t検定またはMann-Whitney U検定を用いて比較した。また、質的変数は数(%)で表記し、χ2検定またはフィッシャーの正確検定を用いて比較した。単変量解析でp<0.20であったすべてのベースラインの変数および過去の知見から確立された関心のある共変量をステップワイズ多変量回帰モデルの候補として考慮し、最終モデルではp<0.05であった変数が用いられた。
Boureau AS et al .: J Am Geriatr Soc. 2023; 71 (7) : 2107-2119. より改変
インスリン治療中の75歳以上の2型糖尿病における夜間※低グルコースの経験率(海外データ)
インスリン治療中の75歳以上の2型糖尿病では、65.2%が夜間に低グルコースを経験しました〈副次評価項目〉。

- 目的:インスリン治療中の高齢2型糖尿病患者における低血糖の頻度と予測因子を明らかにする。
- 対象:インスリン治療中の75歳以上の2型糖尿病患者のうち、1日2回以上のSMBG(self-monitoring of blood glucose:血糖自己測定)で血糖管理を行っている患者155例
- 方法:2017年11月から2020年3月にフランスの6医療機関において、対象例は高齢者機能評価および糖尿病の評価後、28日間連続して外来用のブラインドCGM(continuous glucose monitoring:持続グルコース測定)を受けた。
- 主要評価項目:28日間の追跡期間中にSMBG<70mg/dLで定義される低血糖が1回以上認められた患者の割合
- 副次評価項目:TBRレベル2の低グルコース状態であった時間、夜間(0:00~6:00)低グルコースの頻度、夜間のTBRレベル2 など
- 解析方法:ベースラインの患者背景について、量的変数は正規分布の場合には平均値±標準偏差、それ以外の場合には中央値(25-75パーセンタイル)で表記し、それぞれStudentの t検定またはMann-Whitney U検定を用いて比較した。また、質的変数は数(%)で表記し、χ2検定またはフィッシャーの正確検定を用いて比較した。単変量解析でp<0.20であったすべてのベースラインの変数および過去の知見から確立された関心のある共変量をステップワイズ多変量回帰モデルの候補として考慮し、最終モデルではp<0.05であった変数が用いられた。
Boureau AS et al.: J Am Geriatr Soc. 2023; 71(7):2107-2119.
「FreeStyleリブレ 2」の血糖管理に関する臨床データ(海外データ)
糖尿病のある人において、SMBG※1と比較し、「FreeStyleリブレ 2」の使用がより良い血糖管理と有意に関連していることが示されました。




- 目的:HbA1cが高値の1型糖尿病のある人における、SMBGと比較したグルコース値アラートを任意に設定できるCGM※3の有効性を評価する。
- 対象:HbA1c7.5%~11.0%で1年以上1型糖尿病に罹患しており、インスリン持続皮下注入または一日複数回のインスリン注射を行う16歳以上の被験者156例
- 試験デザイン:海外多施設共同無作為化非盲検並行群間比較試験
- 方法:被験者をCGM群またはSMBG群に無作為に1:1に割り付けた。CGM群は14日間センサーを腕に装着し、リーダーまたはアプリにより現在及び過去のグルコース値を確認し、被験者により設定したグルコース値アラートを使用した。SMBG群は指先穿刺による血糖測定を行った。主要評価項目は、試験群、ベースラインにおけるHbA1c、治療方法、糖尿病の教育プログラム参加歴、ボーラス測定器の使用を固定効果、施設をランダム効果とした線形混合モデルを用いて解析した。副次評価項目は線形混合モデルまたはロジスティック混合モデルを用いて解析した。
- 主要評価項目:24週時におけるHbA1c
- 主要な副次評価項目:センサーデータ、被験者報告アウトカム評価、安全性など
- ※1SMBG : self-monitoring of blood glucose (血糖自己測定)
- ※2TIR : Time in Range(目標範囲時間)
- ※3CGM : continuous glucose monitoring (持続グルコース測定)
Leelarathna L et al.: N Engl J Med. 2022; 387(16): 1477-1487. 利益相反:なし
「FreeStyleリブレ」の2型糖尿病における急性糖尿病イベントによる年間入院率に関する臨床データ(海外データ)
急性糖尿病イベント※1による年間入院率は、
FreeStyleリブレ導入後の12ヵ月間で63%の低下が認められました。

FSL導入前の12ヵ月間とFSL導入後の12ヵ月間の変化は灰色、FSL導入後の12ヵ月間とFSL導入後の24ヵ月間の変化は水色の四角内にそれぞれ示した。
- ※1糖尿病性ケトアシドーシス(DKA:diabetic ketoacidosis)、重症低血糖、糖尿病性昏睡、高血糖
- ※2BOT:Basal Supported Oral Therapy(経口薬併用療法)
- 目的:BOT※2を含む基礎インスリン療法施行中の2型糖尿病のある人における、FreeStyleリブレ(FSL)導入が急性糖尿病イベントによる入院に及ぼす影響を評価。
- 対象:2017年8月1日~2018年12月31日の間にFSLを導入した、BOTを含む基礎インスリン療法施行中の2型糖尿病のある人5,933例
- 方法:フランスの全国的な医療データベースを用いた縦断的後ろ向きコホート研究。FSL導入前の12ヵ月間および導入後の24ヵ月間のデータを解析した。
- 評価項目:急性糖尿病イベントによる入院、FSL導入患者における推定SMBG回数
- 解析方法:記述統計を用いて解析した。本試験は、単一の全国的データベースを用い実施されたため、観察された経時的な差異についての統計学的な検証は行われなかった。
- Guerci B, et al:Diabetes Technol Ther. 2023; 25(1), 20-30.
- 利益相反:本試験はAbbott Diabetes Care社の資金提供により実施された。著者のうち1名はAbbott Laboratoriesの社員である。著者にAbbott社のアドバイザリーボードメンバー、治験責任医師および研究助成金を受領する者が含まれる。
SMBG※1による血糖測定の課題
SMBGによる血糖測定は、測定時の値はわかりますがその間のトレンドがわからないため、十分な血糖管理の達成が困難な場合があります。

- ※1SMBG:self-monitoring of blood glucose(血糖自己測定)
- ※2CGM:continuous glucose monitoring(持続グルコース測定)
Ajjan R et al.: Adv Ther. 2019; 36(3): 579–596. 利益相反:著者にAbbott社より支援を受けた者及びコンサルタントを務めた者が含まれる。
FreeStyleリブレ 2」の選択式アラート ― 選べるアラート機能※1,2
糖尿病のある人のライフスタイルに合わせて、「低グルコース値アラート」「高グルコース値アラート」「受信圏外アラート」のオン/オフを選択することができます。

- ※1アラートを受信するには、アラート機能をオンにして、常にスマートフォンが6メートル以内にあることを確認してください。
- ※2アラート機能を使用するには、Bluetoothを有効にしておく必要があります。
- ※3デフォルトではオフになっています。
販売名:FreeStyleリブレ 2 一般的名称:グルコースモニタシステム 承認番号:30300BZX00119000
離れていても患者さんの⾎糖トレンドを確認できる
ご家族や介助者向けスマートフォンアプリ「リブレLinkUp」
「FreeStyleリブレLink」で1分毎にリアルタイムで測定したグルコース値を、ご家族や介助者が一緒に確認できるから、患者さんは安心して糖尿病の自己管理に取り組むことができます。

患者さんと医療従事者をつなぐクラウド型データ管理システム「リブレView」

- 注1:認知機能や基本的ADL(着衣、移動、入浴、トイレの使用など)、手段的ADL(IADL:買い物、食事の準備、服薬管理、金銭管理など)の評価に関しては、 日本老年医学会のホームページ ( http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/ ) を参照する。エンドオブライフの状態では、著しい高血糖を防止し、それに伴う脱水や急性合併症を予防する治療を優先する。
- 注2:高齢者糖尿病においても、合併症予防のための目標は7.0%未満である。ただし、適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法の副作用なく達成可能な場合の目標を6.0%未満、治療の強化が難しい場合の目標を8.0%未満とする。下限を設けない。カテゴリーIIIに該当する状態で、多剤併用による有害作用が懸念される場合や、重篤な併存疾患を有し、社会的サポートが乏しい場合などには、8.5%未満を目標とすることも許容される。
- 注3:糖尿病罹病期間も考慮し、合併症発症・進展阻止が優先される場合には、重症低血糖を予防する対策を講じつつ、個々の高齢者ごとに個別の目標や下限を設定してもよい。 65歳未満からこれらの薬剤を用いて治療中であり、かつ血糖コントロール状態が図の目標や下限を下回る場合には、基本的に現状を維持するが、重症低血糖に十分注意する。グリニド薬は、種類・使用量・血糖値等を勘案し、重症低血糖が危惧されない薬剤に分類される場合もある。
高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会.高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について.日本糖尿病学会webサイト.2016年5月16日更新
https://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=66 最終閲覧日2025年3月19日
2型糖尿病の自然経過におけるCGM※1使用の提案

- ※1CGM:continuous glucose monitoring(持続グルコース測定)
- ※2保険償還については、後述のセクションをご参照下さい
- a:細小血管疾患および大血管疾患が併存するリスクがある長期罹患の2型糖尿病
- b:CGMで低血糖のリスクが低いことが確認された、経口インスリン分泌促進薬の使用者を含む2型糖尿病
- c:CGMで低血糖の頻度が高いことが確認された2型糖尿病
Ajjan RA et al.: Nat Rev Endocrinol. 2024 Jul; 20(7): 426-440.より改変
保険コード (2025年3月時点) 血糖自己測定器加算 C150-7

第3 関係法令等【省令・告示】(それらに関連する通知・事務連絡を含む。)
- (2)1 診療報酬の算定方法の一部を改正する告示(令和6年厚生労働省告示第57号)別表第一(医科点数表)P156-157
- (2)2 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和6年3月5日保医発0305第4号)P289-290
- (5)18 使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について(令和6年11月19日保医発1119 第 11号 ) P6
まとめ
- FreeStyleリブレ2は、選択式アラート機能を備え、1分間隔で測定されるグルコース値をリアルタイムに表示することで、低血糖/高血糖の検出をサポートします。
- FreeStyleリブレ 2は、使いやすく、いつでもどこでも「血糖トレンド」を可視化することで、行動変容を促し、より良い血糖管理に寄与します。
- FreeStyleリブレ 2は、低グルコース領域においても14日間にわたる安定した精度を有します1)。
- 1)Alva S, et al: J Diabetes Sci Technol. 2022; 16 (1) : 70-77.
利益相反:本試験はAbbott Diabetes Care社の支援により実施された。著者にAbbott社の社員3名及びAbbott社から支援を受けた者が含まれる。
ADC-120889 v1.0 09/25